エンヤの「Wild Child」を考察してみた
Ever close your eyes
Ever stop and listen
Ever feel alive
And you've nothing missing
You don't need a reason
Let the day go on and on
Let the rain fall down
Everywhere around you
Give into it now
Let the day surround you
You don't need a reason
Let the rain go on and on
What a day
What a day to take to
What a way
What a way
To make it through
What a day
What a day to take to
A wild child
Only take the time
From the helter skelter
Every day you find
Everything's in kilter
You don't need a reason
Let the day go on and on
Every summer sun
Every winter evening
Every spring to come
Every autumn leaving
You don't need a reason
Let it all go on and on
What a day
What a day to take to
What a way
What a way
To make it through
What a day
What a day to take to
A wild child
<解説>
この曲以上に、人生の本質を突いている曲は無いんじゃないかと思えるほどの傑作。終始一貫して伝えようとしている考え方は「let it be」、なるように任せよ。かの有名なビートルズの曲名にもなっている。
エンヤは、伝統を愛するアイルランドの出身者なので、英語にナチュラルに古語的なニュアンスを含んでくる。例えば、一番初めのAメロにeverという言葉を使っているが、これは若干古い英語で「いつも」という意味だ。現代ではほとんどalwaysに代わられている。
三たび続けてエンヤは語りかけている。
どんな時も...目を閉じて、立ち止まって耳を澄ませて、生きていることを実感して。
And you've nothing missing
八方塞がりになって辛く苦しい思いをしている時ほど、彼女の言葉が胸に刺さる。今、ここにいるあなたは、生きている。だから、あなたは初めから何一つ失っていない。
続く2回目のAメロでは、優しい言葉で核心を突いている。
雨は降らせなさい。あなたの周りでただ降らせておけば良い。
私たちは、日々の忙しい生活の中で、焦りもがき苦しみ、様々な問題にぶつかり傷ついていく。その全てを今一度、放っておいて、自分が一人の人間としてこの世界に生きていることを思い出す。もっと言えば、価値観や思想や時間といった人々によって作られた概念すらも手放して、裸の自分、ありのままの自分としてこの世界と向き合ってみる。そうすると、今まで自分が悩んできた全てが、雨でしかないことを知る。抗おうと傘や屋根を必死に探し回っている時には気づかなかった、ふんわりと温かい雨。逃げる必要なんてなかった。気負って頑張って、何かを動かす必要なんて最初からなかったんだ。優しい雨に身を委ねて、穏やかに抱かれていれば良い。抗うのをやめて。肩の力を抜いて。雨はただ降らせておけば良いの。
この曲のタイトルは「Wild Child」だが、エンヤはサビで1日というものを野生児(反抗的な子ども)に例えている。「今日の1日」という腕白な子供は、なんて思い通りにならなくて、受け入れがたくて、それでいて愛おしくてしょうがないんだろう、と。
慌ただしく乱雑な迷い(helter skelter)の中から、あなたは本当に大切な時間だけを選び取ってね。そうすれば、あなたは日々気づくはず。
Everything's in kilter
全てはうまくいっている。
だからこそ悩まないで、苦しまないで。深呼吸して、ただただ今この瞬間生きていることを実感するの。日々この世界を、リラックスして楽しむの。全然難しくない。頑張らなくて良いんだよ。心の赴くままに生きよう。
(本当は)あなたに理由なんて必要ないの。
季節が巡るように、流れてゆく世界に身を任せよう。
頭で考えるんじゃない。心で感じるの。ありのままを受け入れる。楽しむ。抵抗せずに手放すの。そうして初めて見えてくる。初めて気が付く。全ては最初から上手く回っていたんだって。
世界はそんな風に出来ている。